食道胃腸の病気情報館

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毒素型細菌性食中毒の特徴・症状・潜伏期間・原因食品・予防

細菌性食中毒(毒素型・食品内毒素型 )の原因菌には、黄色ブドウ球菌、嘔吐型セレウス菌、ボツリヌス菌などがあります。食品内毒素型の細菌性食中毒は、食品内で細菌が増殖する際に産生した毒素を摂取して起こる食中毒です。

黄色ブドウ球菌食中毒の特徴・原因食品・潜伏期間・症状・予防方法

化膿菌(傷口や化膿部分に黄色ブドウ球菌が多い)の代表的な細菌です。調理者を介在して食品を汚染し、黄色ブドウ球菌自体は熱に弱いのですが、食品の中で増殖する際に耐熱性の毒素を産生します。黄色ブドウ球菌による毒素量などにより症状に個人差があります。通常は予後は良好で、命にかかわることは殆どありませんが、稀に重症化することがあります。

特徴:人や動物の化膿創、皮膚・耳鼻咽喉などに分布。食品内で産生する毒素(エンテロトキシン)は耐熱性(100℃の加熱でも無毒化できない)。10℃以下(冷蔵温度域)で毒素を産生できない。

原因食品:穀類とその加工品(おにぎり、弁当、調理パン)、菓子(特にシュークリーム)、乳・乳製品

潜伏期間:1~5時間(主に2~3時間)

症状:吐き気、嘔吐、腹痛、下痢

予防方法:手指に傷や化膿創がある人は調理をしない/調理時は清潔な衣服(手袋は効果的)/調理器具は十分洗い熱湯や漂白剤で殺菌/調理した食品は早めに食べる/食品は室温で長時間放置せずに低温保存

嘔吐型セレウス菌食中毒の特徴・原因食品・潜伏期間・症状・予防方法

セレウス菌食中毒には、嘔吐毒(セレウリド)を原因とする嘔吐型と、エンテロトキシンによる下痢型があります。日本のセレウス菌食中毒の殆どが嘔吐型です。嘔吐型セレウス菌は芽胞形成菌である上に、その毒素は耐熱性ですが、嘔吐型セレウス菌が食品中に大量増殖しなければセレウリドは産生されません。セレウリドは肝機能障害を引き起こすことがあるため、注意が必要です。

特徴:芽胞形成菌で、自然界に広く分布。嘔吐毒であるセレウリドは耐熱性(126℃の90分加熱でも無毒化できない)。10℃以下(冷蔵温度域)で増殖できません。

原因食品:焼飯・ピラフなどの米飯、スパゲティ・焼きそばなど麺類

潜伏期間:1~5時間

症状:嘔吐、吐き気、嘔吐/1~2日で自然回復

予防方法:米飯や茹でたスパゲティは常温で6時間以上放置しない/残りご飯は冷凍・冷蔵保存/加熱後すぐ使わないスパゲティは冷蔵庫に保存

ボツリヌス菌食中毒の特徴・原因食品・潜伏期間・症状・予防方法

ボツリヌス菌食中毒は、発生頻度は低いですが、致死率の高い食中毒です。ボツリヌス菌の型にはA~G型があり、日本のボツリヌス菌食中毒の多くはE型(魚介類の発酵食品など)でしたが、A型(缶詰や真空パック包装食品など)も見られるようになりました。
嫌気性のボツリヌス菌は、缶詰、瓶詰、真空パック詰めなど酸素のない食品の中で増殖して、自然毒で最強といわれるほど非常に毒性が高いボツリヌス毒素(神経毒)を産生します。ボツリヌス菌の型により毒素の熱抵抗性が違います。E型は熱抵抗性が弱く80℃10分で死滅します。A型やB型は熱抵抗性が高く121℃4分以上の加熱でなければ死滅しません。また、E型は4℃でも増殖します。
乳児ボツリヌス症は、ボツリヌス毒素ではなく、ボツリヌス菌の芽胞を摂取するとで、体内で発芽増殖で産生された毒素で発症します。大人のように腸内環境(腸内細菌フローラ)が整っていないためと考えられています。蜂蜜は1歳未満の乳児には与えてはならないとされています。

特徴:嫌気性芽胞形成菌で、自然界・土壌や家畜の腸管中に分布。毒性の高いボツリヌス毒素(神経毒)は致死率が高い。

原因食品:発酵食品、ハム・ソーセージ、野菜ビン詰め・缶詰、燻煙、真空包装食品

潜伏期間:8~36時間

症状:嘔吐、下痢、神経障害(視力・嚥下・言語障害など)
毒素が神経と筋肉の伝達を遮断するために麻痺症状が起こります。初期症状は口内の渇き、複視、眼瞼下垂などの神経症状や、消化器系の症状(吐き気、嘔吐、胃けいれん、下痢)で、適切な治療がされずに重症化すると、生命を脅かす呼吸困難などを引き起こします。

予防方法:新鮮な食材を十分洗浄してから食べる/食べる前に十分に加熱して毒素を不活性化する(80℃30分間加熱)/市販の缶詰・瓶詰・真空パック包装食品は期限表示や保存方法表示を守る(120℃4分間以上の加熱がされているレトルトパウチ食品や殆どの缶詰は常温保存が可能)/自家製ビン詰などは、原材料を十分に洗浄し、加熱殺菌温度や保存方法に注意する。

※芽胞形成菌:環境条件が悪い時は菌の細胞内に芽胞(植物の種子に当る)を形成して加熱・乾燥・薬剤など耐えて生き残り、環境条件が良くなると芽胞から発芽して増殖します。セレウス菌、ウエルシュ菌、ボツリヌス菌は芽胞形成菌です。

※エンテロトキシン(enterotoxin):腸内毒素ともよばれる。細菌が産生するタンパク質毒素のうち、胃炎や腸炎などの異常反応を引き起こす毒素の総称です。耐熱性と易熱性のものがあり、ブドウ球菌は耐熱性の毒素を産出し、サルモネラ菌・ウェルシュ菌・セレウス菌は易熱性の毒素を産出します。

 - 急性胃腸炎・食中毒

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