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病原性大腸菌食中毒の種類・特徴・症状

大腸菌は人や動物の腸管内の常在菌で、自然界にも広く分布しています。大腸菌の殆どは無害ですが、多くの大腸菌のなかには下痢の原因になる病原性大腸菌(下痢性大腸菌)が僅かにあります。

病原性大腸菌の種類には、、腸管出血性大腸菌、腸管病原性大腸菌、腸管侵入性大腸菌、腸管毒素原性大腸菌、腸管凝集性大腸菌があります。これらの種類の中でも、とりわけ強い病原性を持つ腸管出血性大腸菌EHEC(O-157など)は、三類感染症(感染症法)に指定されています。

病原性大腸菌の種類

病原性大腸菌は、大腸菌の菌体抗原(O抗原)と鞭毛抗原(H抗原)の組合せによる血清型で分類されます。

 腸管出血性大腸菌(EHEC)の特徴と症状

腸管出血性大腸菌(EHEC)は、ベロ毒素を産生する大腸菌の総称です。主な症状が激しい血便と腹痛であることから「腸管出血性大腸菌」という名前が付きました。ベロ毒素は赤痢菌様の毒素で、集団食中毒を起こす食中毒菌で、O157が良く知られています。

 腸管病原性大腸菌(EPEC)の特徴と症状

腸管病原性大腸菌(EPEC)は、乳幼児胃腸炎(特に発展途上国)の原因菌として知られています。成人では飲食物中で大量増殖した生菌を摂取することで感染型細菌性食中毒(急性胃腸炎)を起こします。

特徴:束形成性線毛(BFP)やインチミン(菌体の外膜タンパク)により小腸粘膜に強く接着して、粘膜上皮細胞の微繊毛(栄養吸収の働きをする)を破壊してA/E病変を引き起こし、水溶性下痢の症状を生じます。

症状:下痢、腹痛、発熱

 腸管侵入性大腸菌(EIEC)の特徴と症状

腸管侵入性大腸菌(EIEC)は、発展途上国や東欧諸国に多く見られます。先進国では稀で、日本では海外渡航者の旅行者下痢症でみられます。分類上は大腸菌ですが、赤痢菌に似た病原性のため、赤痢の症状と区別するのは難しいとされています。

特徴:大腸の粘膜上皮細胞に侵入して、上皮細胞を壊死させたり潰瘍を形成して、炎症を引き起こします。赤痢菌と同様に人を宿主にする菌で、人から人へ伝染します。

症状:主な症状は下痢、発熱、腹痛。重症になると赤痢の様な血便や粘血便、しぶり腹(継続的な腹痛と残便感。腹痛があって便意を感じても排便がなかったり少なく、残便感が残ります。)など

 腸管毒素原性大腸菌(ETEC)の特徴と症状

腸管毒素原性大腸菌(ETEC)は、発展途上国の乳幼児下痢症の最大の原因菌で、熱帯・亜熱帯地域の旅行者下痢症の主要な原因菌です。日本の病原性大腸菌(下痢性大腸菌)よる食中毒の中で、発生件数が最多です。主に飲料水や魚介の生食が原因とされています。生体内毒素型の細菌性食中毒を(急性胃腸炎)を起こします。

特徴:小腸の粘膜上皮細胞に付着して増殖し(微繊毛の傷害はありません)、エンテロトキシン(易熱性腸管毒素LT・耐熱性腸管毒素STの片方、または両方)を産生して下痢を引き起こします。カンピロバクターと同じく水系感染を起こす食中毒菌です。

症状:腹痛、水様性下痢。腹痛は軽度で発熱は稀。嘔吐を伴うこともあります。

腸管凝集性大腸菌(EAEC)

特殊な線毛で凝集型付着(レンガを積んだように菌が集まって付着)することから、腸管凝集付着性大腸菌、また腸管集合性大腸菌とも呼ばれる比較的新しい種類の菌群で、不明点が多い菌です。
発展途上国、先進国に関係なく、幼児の慢性・急性下痢症や大人の急性下痢症の原因になり、集団発症することもあります。

特徴:腸管粘膜の上皮細胞に接着して増殖する際に産生する耐熱性エンテロトキシン(EAST1)が下痢を引き起こすと考えられています。EAEC菌は、上皮細胞の微繊毛を破壊して接着/破壊(A/E)病変を引き起こします。

症状:粘液を含む水様性下痢と腹痛。発熱はあっても軽く、吐き気や嘔吐を伴うことがあります。

※A/E病変:微絨毛消失性粘着性病変(attaching and effacing lesions)、接着/破壊(A/E)病変

※旅行者下痢症:海外渡航者(海外旅行者)が発展途上国などに渡航した際に遭遇する下痢症状です。感染経路は主に水と食事で、原因になる病原体は細菌、ウイルス、寄生虫など。

 - 急性胃腸炎・食中毒

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