食道胃腸の病気情報館

食道胃腸の病気の症状原因治療についての情報です

大腸ポリポーシスの分類・症状・治療

大腸全体に数多く生じたポリープを大腸ポリポーシスと呼びます。大腸ポリポーシスには遺伝性と非遺伝性があり、遺伝性には腫瘍性と過誤腫性、非遺伝性には炎症性や過形成などがあります。家族性大腸腺腫症(FAP)は、代表的な遺伝性の大腸ポリポーシスです。

大腸ポリポーシスの種類(分類)

大腸ポリポーシスの分類は大腸ポリープの分類に準じ、腫瘍性と非腫瘍性に大別されます。腫瘍性と、非腫瘍性である過誤腫性ポリポーシスは遺伝性です。

  • 腫瘍性の大腸ポリポーシス
    家族性大腸腺腫症(家族性大腸ポリポーシス・ガードナー症候群)、ターコット症候群
  • 非腫瘍性の大腸ポリポーシス
    過誤腫性(ポイツ・イェガース症候群、若年性ポリポーシス、コーデン病、 結節性硬化症)、炎症性(炎症性ポリポーシス、良性リンパ 濾胞性ポリポーシス)、その他(過形成性ポリポーシス、クロンカイト・カナダ症候群)

家族性大腸腺腫症(FAP)の特徴(原因遺伝子・症状・治療)

家族性大腸腺腫症(FAP:Familial Adenomatous Polyposis)は、大腸にポリポーシス(多数発生した腺腫)が生じ、高率に大腸癌になる遺伝性の病気です。原因遺伝子はAPC遺伝子で、遺伝子変異は常染色体優性に遺伝します。大腸だけでなく、腫瘍性・非腫瘍性の病変が大腸以外の消化管や他臓器に現れ、中には癌化リスクがある病変もあります。
家族性大腸腺腫症(FAP)の症状は、大腸のポリポーシスにに加えて、合併病変として、大腸以外の消化管(十二指腸や胃)のポリポーシスや腺腫、先天性網膜色素上皮肥大、デスモイド腫瘍、骨腫、歯牙異常(過剰歯・埋没歯)などや、それに関連した癌があります。
家族性大腸腺腫症(FAP)の多くは、大腸内視鏡検査で診断できます。また、遺伝学的検査(血液検査)は、確定診断だけでなく発症前診断が可能です。FAPの治療は、大腸癌が発生する前の予防的大腸切除が一般的です。

ターコット症候群の特徴(原因遺伝子・症状・治療)

ターコット症候群(Turcot 症候群)は、大腸癌と脳腫瘍を合併する遺伝性の病気です。ターコット症候群にはタイプ1とタイプ2があり、家族性大腸腺腫症(FAP)とは別の病気と考えられています。
ターコット症候群患者の3分の2のタイプ2は、家族性大腸腺腫症(FAP)と同じAPC遺伝子の変異で、大腸ポリポーシスと脳腫瘍(主に小脳の髄芽腫)す。大腸ポリポーシスは高率に癌化します。ターコット症候群タイプ2の治療は家族性大腸腺腫症(FAP)と同じです。
ターコット症候群患者の残り3分の1のタイプ1は、リンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス性大腸癌、HNPCC)の亜型で、大腸癌に脳腫瘍(主に神経膠芽腫)を合併します。リンチ症候群はDNAミスマッチ修復遺伝子の変異によるもので、大腸腺腫はあまりないため、軽症型FAPとの鑑別が難しいといわれています。

ポイツ・イェガース症候群の特徴(原因・症状・治療)

ポイツ・イェガース症候群(Peutz-Jeghers症候群)は、常染色体優性に遺伝し、消化管の過誤腫性ポリポーシスと皮膚粘膜の色素沈着(口唇・口腔・手足掌)の症状が特長です。好発年齢は10歳代~20歳代です。
胃から大腸までの消化管のどの部位にもポリープが発生しますが、特に小腸に好発します。腸重積による腸閉塞(イレウス)や腹痛の症状のほかに、出血(血便・貧血)やポリープの肛門脱出を起こすことがあります。様々な上皮性悪性腫瘍(結腸直腸・胃・膵臓・乳腺・卵巣)のリスクが高いといわれています。女性では卵巣良性腫瘍や子宮頚部悪性腺腫のリスクが高く、男性では石灰型精巣セルトリ細胞腫(エストロゲンを分泌するために、女性化乳房が見られます)を発症することがあるとされています。
ポイツ・イェガース症候群の治療は、大きなポリープは切除(内視鏡的ポリペクトミー)、腸重積は手術になります。

若年性ポリポーシス症候群の特徴(原因・症状・治療)

若年性ポリポーシスは、常染色体優性に遺伝します。大多数の若年性ポリープは良性で癌化することはないとされていますが、ポリープが多発する若年性ポリポーシス症候群ではポリープの一部が悪性化(腺腫や癌)することがあります。幼小児に好発するとされていますが、成人にも発生します。
消化管の過誤腫性ポリポーシスが特長で、下血・血便・腸重積による腸閉塞(イレウス)が主な症状です。治療は内視鏡的ポリペクトミーによるポリープ切除、腸重積は手術になります。

コーデン病(カウデン症候群)の特徴(原因遺伝子・症状・治療)

コーデン病(カウデン病、Cowden症候群)は、常染色体優性にPTEN遺伝子変異が遺伝し、多くは20歳代後半までに病変が現れます。過誤腫性消化管ポリポーシスに皮膚病変(顔面の多発性丘疹・四肢末端の角化性丘疹・口腔粘膜乳頭腫など)を伴います。過誤腫性消化管ポリポーシスは軽微で症状も殆どないのですが、ほか臓器に腫瘍性病変を合併することが多いといわれています。特に女性では甲状腺・乳房・子宮内膜に良性また悪性腫瘍(癌)の発生リスクが高いとされています。根本的な治療方法は確立されていません。

非遺伝性の大腸ポリポーシスの種類と特徴

炎症性ポリポーシス:炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)や感染症などで、腸に強い炎症が起きることで炎症性ポリポーシスができます。単発性の炎症性ポリープの頻度は低く、多くが多発性の炎症性ポリポ-シスです。潰瘍で残った島状粘膜がポリープ様に見える「偽ポリポーシス」と、粘膜再生の過程で増殖した多発性の細胞の塊があります。癌化することはないとされています。

良性リンパ 濾胞性ポリポーシス(リンパ 濾胞増殖症):大腸の粘膜にリンパ組織であるリンパ濾胞が拡大増殖してできる非腫瘍性のポリープが多発したものです。自然に治ることが殆どで、通常は治療せずに経過観察します。濾胞性リンパ腫とMALTリンパ腫との鑑別が重要です。

過形成性ポリポーシス:過形成ポリープの数が多く、びまん性に現れた場合に「過形成性ポリポーシス」と呼びます。悪性変化はないとされています。

クロンカイト・カナダ症候群:消化管ポリポーシス(特に胃・大腸)に皮膚症状(色素沈着、爪の萎縮、脱毛)を伴うのが特徴で、蛋白漏出性胃腸症を高率に伴います。中高年の男性に多い、原因不明の稀な病気です。
治療には副腎皮質ステロイド薬が有効とされています。消化管ポリポーシスの改善には長期間の治療が必要で、稀に癌化するといわれています。蛋白漏出性胃腸症は、本来血液中に保持される蛋白質が消化管の中に染み出してしまうもので、栄養不良を引き起こします。低栄養に対しては中心静脈栄養が併用されます。

 - 大腸ポリープと大腸癌

PC用

PC用

  関連記事