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家族性大腸腺腫症の原因・症状・治療

家族性大腸腺腫症(FAP)は、家族性大腸ポリポーシスまたはガードナー症候群とも呼ばれます。家族性大腸ポリポーシスとガードナー症候群は異なる疾患と考えられていましたが、同じ遺伝子異常によることから、同一疾患(症候群)と考えられています。家族性大腸腺腫症(FAP)は、大腸のポリポーシス(多数のポリープが発生)だけでなく、ほか消化管や臓器に様々な症状を起こす全身疾患です。大腸癌になるリスクが極めて高いため、適切な予防と治療が必要です。
日本では17,000人に1人といわれています。稀な病気ですが、発症年齢は7~36歳で、大腸癌発生は、40歳代で50%、放置すると60歳ころにはほぼ100%、といわれる癌化リスクの高い病気(症候群)です。

家族性大腸腺腫症FAPの原因遺伝子

家族性大腸腺腫症(FAP)の原因は、第5番染色体上APC遺伝子の生殖細胞(胚細胞)変異で、遺伝形式は常染色体優性遺伝です。(APC遺伝子変異は、親から子に2分の1の確率で受け継がれます。FAP患者の両親いずれかからAPC遺伝子を受け継いだと考えられるのは約70%で、残り約30%は新生突然変異と呼ばれる新たに遺伝子変異が起こったものと考えられています。新生突然変異の場合でも、親から子に2分の1の確率で受け継がれます。)腺腫が癌化するには、生殖細胞系列変異に加えて、発癌に関わる遺伝子変異の影響があると考えられています。

家族性大腸腺腫症FAPの症状

前癌病変である大腸ポリープ(腺腫)が多数(100個以上の場合が多い)生じます。家族性大腸腺腫症(FAP)の症状は、多発する大腸腺腫による下血・腹痛・下痢などの消化器症状だけでなく、大腸以外の消化管(十二指腸や胃底部など)や他臓器に腫瘍性・非腫瘍性の様々な病変(腺腫、軟部腫瘍、骨腫、歯牙異常、デスモイド腫瘍など)を合併します。これら随伴病変(合併病変)もAPC遺伝子が関係していると考えらます。そして、随伴病変(合併病変)に関連する癌もあります。
注意が必要なFAPの随伴病変(合併病変)に、甲状腺癌(若い女性)、子宮癌、卵巣癌、胃癌の他に、十二指腸の癌と腹部のデスモイド腫瘍(繊維性の軟部腫瘍)があります。十二指腸癌と、大腸切除後に発生しやすいといわれているデスモイド腫瘍(腹壁・腸間膜・後腹膜に多い)は、大腸癌以外のFAPの主要な死因になっています。

家族性大腸腺腫症FAPの検査・診断・治療

家族性大腸腺腫症(FAP)は大腸の多数のポリープが特徴的なため、ほとんどが大腸内視鏡検査で診断できます。非腫瘍性の網膜色素上皮腫大は90%近くのFAP患者に発現し、かつ大腸腺腫よりも早く出現するため、補助診断に有用です。
遺伝学的検査(血液検査)は、確定診断だけでなく発症前診断に有用です。発症していない子供や兄弟にAPC遺伝子変異が遺伝していないかを調べることで、発症前診断を可能にします。変異した遺伝子の部位によってポリープ数や他症状と関連しており、ポリープ数によって密生型・非密生型・軽症型FAP(AFAP)に大別されます。ポリープが多いほど重症度や若年発症頻度が高くなります。
家族性大腸腺腫症(FAP)の治療は、大腸癌が発生する前の予防的大腸切除が一般的です。FAPと診断されたり、血縁者にFAP患者がいてAPC遺伝子変異が遺伝している可能性がある場合は、早い時期(10歳代)から大腸内視鏡検査による経過観察を行い、適切な時期に予防的手術で大腸癌をを防ぎます。
大腸以外の腫瘍性病変の予防的手術は行われません。ただし、十二指腸に高率で多発性のポリープ(腺腫)を合併することで十二指腸乳頭部癌のリスクがあるため、定期的な胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)が必要です。また、デスモイド腫瘍(繊維性の軟部腫瘍で基本的に良性)などの他合併病変にも注意しなければなりません。

※家族性大腸腺腫症:FAP(Familial Adenomatous Polyposis)

※軽症型FAP:AFAP(Attenuated FAP)

 - 大腸ポリープと大腸癌

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